先日、CNNの特集でオバマ大統領の任期前、任期後で顔立ちがかなり変わっており、これは精神的な疲労から来るものではないかという議論がなされていました。その特集では単なる加齢であるとの見解でした。ただ、そんな議論がなされるほど彼が務めた任期8年間というものは大変なものだったと考えられているのでしょう。
今更なのですが、今日は私がオバマ大統領の最終演説を聴いた感想について記事にします。
私があの最終演説を聴いて何を感じたのか、何を汲み取ったのか。もう既に色々な方が感想や要約をブログや動画、ニュースなどで伝えていまるので、内容をご存知の方も多いでしょう。
そんな中で今更記事にする必要はないのでしょうが、それでも私があの最終演説を聞いて感じたことを備忘録的に残したいと感じました。
ですので、今日は私が感じたことを書き連ねていきます。
目次
オバマの最終演説の流れ
まず簡単に最終演説の概要をざっくりと説明します。
- 国民への感謝
- オバマの半生
- 人権とこれまで240年の歴史の中でアメリカが成し遂げてきたこと
- 民主主義とは
- 私が任期中に達成したこと
- トランプ大統領へのスムーズな政権移行の約束
- 社会保障と民主主義の危険性
- 民主主義を機能させるには国民一人一人の意識が大切
- 家族と副大統領への感謝
というのが本当にざっくりとした演説の流れです。
一時間の演説をかなりコンパクトにまとめたので、詳細を知りたい方は下記のリンクを参照ください。
「表に出よう。飛び込め。続けるんだ」これがオバマ大統領退任スピーチ全文だ
オバマが伝えたかったこと
上記で赤くした部分が私が考えるオバマが最も伝えたかった箇所です。
5.私が任期中に達成したこと
彼が任期中に達成した、
もし私が8年前に、キューバと新たな関係を築き、戦争せずにイランの核兵器開発を停止させ、911の指導者を殺害すると言ったら……もし私が8年前に、結婚の平等を勝ち取り、さらに2000万人もの国民が健康保険に入る権利を確保すると言ったら……もし私が8年前にそんなことをすべて言ったら、その目標は少し高すぎないかと言ったかもしれないですね。そういうものなんです。
について観客を盛り上げたあとにオバマはこう言いました。
Yes,We can!
Yes,we did!
Yes,We can!!!
私たちは出来ると言って、私は実際に出来た。だからこれからも出来るとオバマは力強く宣言し、国民への感謝と期待を示しました。
この『We』の部分には彼がこのスピーチで伝えたかった『民主主義』への思いが詰まっています。
6.トランプ大統領へのスムーズな政権移行の約束
この部分は後のパートにも繋がってきます。聴衆からもう4年続けてくれとのコールに対してオバマが答えたのは、
ノー、ノー、ノー、ノー、ノー。制限なく選出された大統領から、次の大統領へと、平和的に政権が移譲されます。私は次期大統領のトランプ氏へ、私の政権が可能な限りスムーズな政権移行を確実に行うことを約束します。それはブッシュ大統領が私にしてくれたのと同じ形です。
ここはかなり慎重に言葉を選んだであろうパートです。恐らく予定してた演説部分ではないでしょうから。もちろん聴衆から時期トランプ大統領に対して、こういった反応があることは想定出来たかもしれません。それでもトランプ大統領の支持者やこれからのアメリカのことを考えて後ろ向きな発言は出来ない。そういった様々なことを考えて実にスマートな返しをしたオバマを見て私は改めて感服しました。
8.民主主義を機能させるには国民一人一人の意識が大切
恐らくここが最もオバマ大統領が伝えたかったことでしょう。
前半のパートでは過去のアメリカが民主主義のもといかに多くのことを成し遂げてきたのかを説いています。
しかし、後半では経済、人種差別、民主主義で起きる対立の危険性について注意を呼びかけています。
皆が民主主義の本質と危険性を忘れた時、民主主義が逆に脅威となりえることをオバマは説いています。
しかし、ただ脅威を説くだけでなく、そんな時だからこそ原点に立ち返って民主主義で立ち向かおうとオバマは説いています。
今、私たちは問題に対する最善の解決策について論じることができるし、そうするべきです。しかし、ただ問題を否定することは、次世代への裏切りだけでなく、建国の父たちを導いた革新と問題解決という根本的な精神をも裏切ることになるのです。
最後に言いたいことがあります。民主主義は、当たり前のものと考えた瞬間、脅威にさらされます。
そして力強くこう言います。
民主主義はみなさんを必要としています。選挙の時だけではなく、自分の狭い利害関係が関わる時だけでもなく、みなさんが生涯にわたって参加する必要があるのです。インターネット上で見知らぬ人と議論するのに飽きたなら、実生活で人と話をしてみてください。何かを修正する必要があるのなら、靴紐を締め直して、何かを始めましょう。選ばれた政治家に失望しているのなら、クリップボードを手にし、スローガンを掲げ、自分自身で立候補してみてください。
恐らくここが最も彼が伝えたことでしょう。
新アメリカ大統領であるトランプ氏に対して多くの方が不安や不満を持っています。
そのことは今まで誰よりも国民のことを考えてきたオバマには十分わかっているでしょう。
だからこそ彼はこの演説で言い続けた民主主義の可能性を強調しているのです。
ただ、不満を言うのでなく立ち上がろうと。
演説の冒頭で彼は自身の若い時についてこう振り返っています。
20代の早い時期に、私は初めてシカゴに来ました。その時はまだ自分が何なのかを知ろうと、人生の目的を探そうとしていました。
オバマもまた何者でもないところから今の地位まで上り詰めたのです。彼は民主主義がもつあらゆる可能性を彼自身で示しているのです。
今アメリカ国民が抱える不安を一人一人の意識で変えていこうと彼は国民に訴えているのです。
9.家族と副大統領への感謝
ここは本当に胸を打たれました。正直何度みても涙が出てきます。
大統領の家族であるということは時に大統領以上に過酷な状況があるでしょう。その状況に8年間ついてきてくれた、また支えてくれたことへの感謝をオバマは伝えました。私の言葉では言い表せないほどの感動的な素晴らしい空気が会場に溢れていたことを感じ取れました。
また、オバマは常に自分を支えてくれた副大統領への感謝も忘れませんでした。
この部分だけでも見る価値がありますので、興味がある方はご覧になってください。
※こちらの動画は日本語の同時通訳つきです。
また、家族と副大統領への感謝は43分頃からです。
今のアメリカ国民が抱える危機感
ここまで偉そうなことを語ってきましたが、私は政治のことはよくわかりません。なので、世間でトランプ大統領が危険視されていることが事実なのかどうかはわかりません。しかし、少なくともアメリカ国民の中には不満と不安を抱えている人が多いであろうことは想像出来ます。
そのアメリカ国民の心情を非常によく表しているのが下記の動画です。
【Hapa英会話-71】ドナルド・トランプ氏の当選から学んだこと・・・
この動画からわかることは少なくとも今アメリカという国が1つではないということです。もちろん常に完全に1つになるということは難しいのでしょう。様々な意見があっても良いでしょう。しかし、現在のアメリカの状況は極めて危険な対立構造となっている。そのことは非常に悲しくもあり、危険なことでもあるでしょう。
私はこのトランプ大統領就任には副産物的に良い部分もあると考えています。それは今まで以上に国民が政治に対して危機意識をもつことです。
今まではオバマが何とかしてくれるだろうというどこか安心感というものがあった気がします。
それはくしくもオバマが危惧した民主主義の脅威の1つです。
しかし、今回のトランプ大統領就任をきに国民は危機意識を持つようになるはずです。そして、国をもっとよくしていこうという意識が高まれば政治はよくなるでしょう。
今回の大統領選でアメリカが抱えた問題はオバマの任期期間8年の間に有望な候補者でてこなかったことです。候補者はヒラリー、トランプ、サンダースなど高齢な候補者ばかり。オバマが演説で伝えた政治に不満があるなら立ち上がろうという言葉には若い人や政治家たちを鼓舞する意味合いもあったはずです。
なので、悲嘆に暮れるのではなく、一人一人が政治への意識を高く持てば、アメリカという国がまた1つ進歩することが出来ると私は考えます。
まとめ
かなり私の意見が入った話となってしまいました。それだけ私にとっては感情を揺さぶられる演説でした。
今回の演説は何もアメリカ国民だけを対象にしたものではありません。
私のような一人の日本人も常に政治や自分が関わることに対して意識を持っていいかなればどこかで脅威や危機に直面する可能性があります。
なので、今後は私ももっと政治や自分が関わりのあることに興味関心をもって取り組んでいきます。
そうやって一人一人が意識を高くもてば少しずつ環境は変わっていくでしょう。
それでは、さようなら!
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