人から何かプレゼントをされた機会はほとんどの人があるでしょう。誕生日や卒業式に親から、恋人との記念日やクリスマスに恋人から、仕事や勉強などで結果を残した際にそれを評価されて、バレンタインに思いがけない子からのチョコなど。
えっ!? そんなお前は今年のバレンタインどうだったのかって?
そんな話は忘れて先に進みましょう。
なぜいきなりこんなことを思ったのかというと実は私が先日お客さんから直接チップを受け取ったことに端を発しています。
その時私はとっさに日本人の癖として一度拒否する姿勢を見せてしまいました。
それは日本人で育った人なら誰もが経験するお年玉を予想通りにもらって後は中身がいくらかだなと思っているにも関わらず、『そんな! こんなのもらえないですよ! お母さんに確認しなくちゃ!』のような瞬間でした。
結果的にがっちりチップをもらったのですが、後で自分の態度はこれで良かったのかと疑問を抱きました。
そこで今日は人からもらう時の受け取り方についてお話ししていきます。
フィリピンの先生から言われた日本人のプレゼントを受け取る際の悪癖
なぜ私がこんなことを言い出したかと言うと、それは昨年の10月にフィリピンで英語留学した時に話したフィリピン人の英語の先生との会話があったからです。その先生は元々精神科の病院に勤務していた経験があり、人の心の特徴について非常に造詣が深い方でした。また、多くの日本人の生徒を見てきた経験から日本人の慣習や行動について詳しい方でもありました。
その先生と盛り上がった話の中に日本人のプレゼントを受け取る際の悪癖というものがありました。というのも私の韓国人の友人の中に人に奢るのが好きな人がいて、夕食の後に必ずお菓子やアイス、カップラーメンなどを奢ってくれました。
私はいつも申し訳なく思い、都度『いいよ、いいよ』と言って断っていました。そして割り勘にしようとか、今度は奢らせてくれと頼んでいました。しかしある時その姿勢をみた別の韓国人の友人からあまりその態度は良いものではないと教えてもらいました。
そのことを先に述べたフィリピン人の先生に述べたところ大笑いされました。曰く私の行動は日本人の典型的な姿勢だと。
その先生にはこう言われました。『おまえどうせあれだろ、これを受け取ったら何か見返りを要求されるんじゃないかと考えてるんだろう。後でお金のことなんかで揉めたくないから割り勘にしたいんだろう?』と。
ズバリ正解です。もちろん奢ってくれることは正直嬉しいことなのですが、何かをしたわけではないのに奢られてしまうことに私は違和感や心地悪さがありました。
相手の好意を否定するのはフィリピンでは侮辱行為!?
韓国でのケースとは違いますが、先生曰くフィリピンにおいてプレゼントを拒否る、奢らせないことは侮辱行為にあたるそうです。
話は一度逸れるのですが、フィリピンでは痩せているよりも太っている方がモテるそうです。それはまだまだ貧しい発展途上国においては痩せていること=貧しい、太っている=富んでいるという図式があるそうです。
以前私が世界ウルルン滞在記を観ていた時に、名前は忘れたのですが、日本人の綺麗な女優さんがアフリカの貧しい村を訪問された際に、そこの長老の方からお金がなくて困っているのかと心配されたことがありました。その女優さんがあまりにスレンダーなので長老さんは食うのに困っている人だと考えたそうです。
先進国と発展途上国で美しさの基準が異なることをそこで学びました。
なぜこんな話をしたかというと、フィリピンにおける奢るという行為と関係していると感じたからです。ご飯をいっぱい食べられたり、人に奢ってあげられるという行為は発展途上国においては特に富を表す行為であるのでしょう。
そのため、自分の財力を表す行為を拒否するというのは相手に奢る力などないと拒否した側が思っていると相手に思われる。そういったことが関係してプレゼントを拒否する行為が侮辱行為にあたるようです。
素直になれないそこのあなた 素直になって受け取っちゃいましょうよ
ここまで読んできてしっくりきていない人がいるかもしれません。
いやいや私は素直に人からのプレゼントを受け取っているよと。疑い深いあんたとは違うのよと。
では、もしあなたの恋人が誕生日でもイベントでも記念日でもないのにいきなりプレゼントを買ってきたら素直に受け取れますか?
恐らく大多数の人はそのときこう考えるでしょう。
『この人浮気してるのかな? その罪滅ぼしのために買ってきたのかな?』と。
浮気ではないのですが、実際私の父親が珍しく気を利かせて何かお菓子などを買ってきた場合、私の母親は『何かあったのかな。気味が悪い。どういう風の吹き回し?』とよく言っていました。
先ほどの先生は日本人のこうした心理についてこう言っていました。
『非常に寂しい』ことだと。
もちろん実際浮気ややましいことへの後ろめたさからプレゼントを買ってくる人もいるでしょう。しかし、中には何だか相手に感謝したい、好きな気持ちを表したいという想いからプレゼントをする人もいるでしょう。そういった人の気持ちを素直に受け取れないことに対して先生は寂しいことだと言っていました。
結局それは普段から男性側からプレゼントや感謝をすることが習慣となっていないことで起きる行き違いなのです。
感謝したいからプレゼントする、プレゼントされたら素直に喜ぶ。
たったそれだけのシンプルかつ幸せなことがちょっとした行き違いで上手くいかないことは非常にもったいないことです。
確かに相手の裏の気持ちを探ることが必要な場面もありますが、時には相手の行動を素直に受け取ることも必要なのではないでしょうか。
まとめ
私はチップを受け取る際についいつもの癖で一度断ってしまいました。しかし、それは相手の好意を踏みにじる行為だったかもしれません。
相手の好意に感謝しているからこそ素直に受け取ってみる。そういった行為の積み重ねが健全な精神状態の維持には欠かせないのではないでしょうか。
皆さんも今後人から何かを受け取る時は素直に受け取ってみてはいかがでしょうか。
それでは、さようなら!