フィリピンの出稼ぎ事情について以前このブログで少し触れたことがあったが、私はあの話を聞いた時に別に頭に浮かんだことがあった。
それはフィリピンが抱える危機的状況と私の所属していた前会社が重なって見えたということだ。
そこで今日は私が感じたフィリピンと前所属会社の状況について語っていきたいと思う。
※フィリピンので稼ぎ労働事情についてはこちらを参照してください。
目次
発展しないフィリピンの経済状況
出稼ぎ労働事情
現在約1,000万のフィリピン人が海外で出稼ぎ労働をしていると言われる。フィリピンの労働人口は約4,100万人と言われているので、約1/4の労働人口者が海外で働いていることとなる。
彼らが行っている仕事は多種多様で、建設現場の労働者やメイドのなどの単純労働者や医師・看護師・エンジニアなどの高給な職などがある。
その背景にはフィリピン国内の経済状況がある。国内で雇用の場がないため海外で働かざるを得ない。そのため出稼ぎ労働者のおかげてGDP額は向上しているにも関わらず、フィリピンの失業率は7パーセント前後という高い値を推移している。
現状国に恩恵もたらしているから良いじゃないかというわけにはいかない問題がここに潜んでいる。
※こちらの記事は下記から引用しました。
【海外情報レポート】好調なフィリピン経済をけん引する海外出稼ぎ労働者の送金事情(フィリピン) - 日本商工会議所
せっかく優秀な人材を育てたのに
実はこの出稼ぎ労働だが、以前は貧困層に多く見られた行動だった。日本でサービス業に従事したり、香港やシンガポールでメイドをしたり、中東等で建設現場で働いたりなど。ところが前述した通り最近では単純労働者だけが海外で働いているわけではない。
医者やエンジニアなど優秀で本来自国企業で働いて欲しいと思える人材までも海外で働いているのだ。フィリピンで働く何十倍、下手すれば何百倍以上のお金を手に出来るのだから海外に職を求めてしまう。そのため自国の企業や産業が成長しない。その結果としてフィリピンの経済が停滞し続けているのだ。
実際、私はフィリピンに留学していた時に40歳くらいの主婦達とお茶をする機会があったのだが、その時に自国の状況を嘆いていた。
曰く、『優秀な人材と働く意欲があるものはみんな海外に行ってしまう。だから残されるのは国が変わらなくても生活に困らないごく一部の富裕層と海外に出られない貧困層しかいない。』と。
転職者が相次ぐ私の前所属会社
上記の状況を聞いて私の前所属会社のことが頭に浮かんだ。私が会社を辞めてから半年ほどたつが、たまに前の会社の人と連絡をとることがある。そこで知ったのが転職者や退職者する人が相次いでいるそうだ。そしてそのほとんどが優秀な若手から中間層である(注:私はそこに含まれてはいない)らしい。
私の前所属会社は某大手通信業者の子会社だったのだが、社内の慣習やビジネススタイルは典型的な日本企業といった感じだった。また、会社の構成は団塊の世代を中心として経営幹部層と4、50代を中心とした管理職。そして働きざかりの2、30代が働かない上司の分まで働かされる。
上層部が会社の未来を考えるといってもそれは自分たちの任期内の話。実際のところは自分の定年退職まで無事に過ごせれば良いといった感じで、まさにそれはフィリピンの中間層のようなもの。
また、現状の自分に疑問を抱くようなものやキャリアアップを考えるものは早期退職したり、他の会社に転職をしたり。これもまたフィリピンの優秀な層が外の環境に救いを求めるのと重なる。
残されたものの負担
そして最後に残ったのは現状を変えるつもりのないものと一部の優秀なものと若手。その一部の優秀な人と若手への負担は増すばかりだ。
実際私の後輩は働かない先輩の分まで、働かされている状況を嘆いていたし、私が尊敬する優秀な上司は仕事が出来すぎるために負担が増していく。
なまじ責任感があるだけに、会社から離れられずいる状況だ。
もちろんそこにやりがいを感じたり、会社へ愛着を持っているのならその人が今のままで良いと思う。しかし、私の目から見るとせっかくの能力を持っているのにもったいなく感じでしまう。
そこから見えてきたこと
今日話したかったことは何もフィリピンに未来はないということでもなければ、私が会社を辞めて正解だったという話ではない。
異国のどこか遠いところで起きていると思っていた日本には馴染みなのない貧困事情が日本企業の中で同様なことが起こっている。その事実が私に危機感を持たせたという話だ。
今後グローバル化がますます進んでいき、海外で働くことが当たり前になっていく中で、雇用者を満足させることが出来ない企業は人材流失を避けられない。それは企業だけでなく、国にも起こりかねない。
そんなことが当たり前に起こる時代が来た時に自分が柔軟に環境を変えられる力(スキル)を持っているか。
よその国で起こっていること、前の会社のことだとは考えてはいけない。自分が今後生きていく、お金を稼ぐ中で常に危機感を持っている必要を私はこの二つのことから気づかされたのだ。
まとめ
ワーキングホリデーに来てから強く思うようになったのは自分にはお金を稼ぐスキルがないということだ。
日本で働いている時は特に何かをするわけでもなく、パフォーマンスに関係なくお金を定期的にもらえていた。そこに多少自分への錯覚を起こしていたのだ。自分はこれだけの年収を稼げる力があるのだと。
しかし、会社を辞めて改めて痛感させられたのは自分個人のスキルでは全くと言っていいほどお金を稼ぐスキルはない。
そしてその状況は今後生きていく上で非常に危険なことでもある。
自分が生きていくためには独力でお金を稼げるスキルや力をつけていく必要がある。そんな危機感を抱いたので記事にしました。
それでは、さようなら!